日本海と瀬戸内海に加えて九州近海など、三方が海に開かれた山口県ならではの多彩な鮮魚が並ぶ。多くの卸業者が軒を連ね、一般客でも買物ができることから「関門の台所」として市民にも親しまれている。
トラフグの専門業者も店を構えており、年間を通じて養殖物が手に入るほか、冬季には天然物が加わり一段と活気がみなぎる。「身欠きふく」や刺身、鍋用の切り身、ヒレなどがリーズナブルに手に入るとあって、観光客がお土産として購入したり、ハレの日をふくで祝おうと地元の人が訪れたり、いつも人垣が絶えない。
また、全国各地でユニークな自販機が登場し話題となる中、なんと同市場では、日本で唯一の「フグ自販機」が稼働中。有名アーティストによるド派手なフグのイラストが筐体に描かれており、一際目を引く存在だ。冷凍されたトラフグの刺身や切り身、お茶漬けなどが購入でき、市場の新名物として人気を博している。
Hirobumi Ito
伊藤博文
中世から300年にも及んだふぐの禁食令を解禁。
明治維新、そして新政府にて大いに発揮された開明的かつ柔軟な思考は、後に山口県が誇る名物となる「ふく」をも世の中に解き放った。